最高裁判所第三小法廷 昭和26(し)45 決定
主 文
本件抗告を棄却する。
理 由
弁護人清瀬一郎、同内山弘の抗告申立の趣意は、末尾添附の別紙書面記載のとお
りである。
関係記録に徴すれば、被告人Aにかかる公文書偽造行使詐欺被告事件(新刑訴施
行前の起訴にかかるいわゆる旧刑訴法事件)につき、大阪高等裁判所は昭和二六年
二月九日控訴審として被告人に対し有罪の判決を言渡したところ、被告人は右判決
につき、刑訴施行法第三条の二により旧刑訴法事件についても認められた上告審と
しての事件受理を最高裁判所に対し申立ようとしたのであるが、その申立書に添付
すべき大阪高等裁判所の判決謄本の下附が、右事件受理申立期間内に間に合わなか
つたために、右申立をすることができなかつたこと、そこで被告人はその後右判決
謄本の下附を受けた上、大阪高等裁判所に対し上告受理申立回復請求をしたところ、
同裁判所は被告人が上告受理の申立をすることができなかつたのは、その責に帰す
べからざる事由によるものとは認められないとして、昭和二六年五月一日その請求
を却下する決定をしたものであることが明らかである。而して本件抗告申立書によ
れば、本件抗告は原決定が大審院の判例と相反する判断をしたという刑訴第四〇五
条第三号に当る理由を主張して、(刑訴第四一一条に当るとの主張も附加されてい
る、)刑訴第四三三条により申立てられたものである。
しかし、旧刑訴法事件の審判の特例を定めた刑訴施行法第三条の二は、上告に関
し、その所掲の刑訴の規定を適用すべきものとしているに止まり、抗告に関し、刑
事第四三三条を適用することを規定していないのであるから、旧刑訴法事件につき
同条による最高裁判所への抗告の許されないことは論をまたないところである。ま
た旧刑訴法事件につき最高裁判所への抗告が認められているのは、刑訴応急措置法
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第一八条による場合であるが仮に本件抗告を同条による申立と解しても、同条によ
る抗告は憲法違反を理由とする場合に限られているのであるから、本件抗告の如く
判例違反を理由とするものは不適法といわなければならない。されば本件抗告はい
づれの点より見てもこれを棄却すべきものとする外はないのである。
よつて、旧刑訴第四六六条第一項に従い、裁判官全員一致の意見により、主文の
とおり決定する。
昭和二六年一〇月三〇日
最高裁判所第三小法廷
裁判長裁判官 長 谷 川 太 一 郎
裁判官 井 上 登
裁判官 島 保
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